こんにちは、当ブログをご覧くださりありがとうございます。
投資について発信している弾正少弼です。
(投稿2025年9月)
今回は、EUがインドと協力強化 です。
今回のEUとインドによる防衛・ハイテク分野の協力強化計画には、複数の地政学的・経済的背景が絡んでいます。以下に、構造的に整理してご説明します。
🧭 背景①:地政学的再編とロシア・中国への牽制
- ウクライナ侵攻後のロシアとの距離感:インドはロシア産原油の購入を増やし、プーチン大統領との関係も維持しているため、EUはインドを「ロシア陣営」に追いやらないよう配慮。
- 中国との微妙な関係:インドは上海協力機構(SCO)などを通じて中国とも接点を持つが、EUは中国依存の脱却を目指しており、インドとの連携強化はその一環。
💼 背景②:経済連携とFTA(自由貿易協定)の加速
- EUはインド最大の貿易相手:インドの総貿易の12.2%をEUが占めており、FTA締結は双方にとって大きな経済的利益。
- 交渉の加速要因:トランプ大統領の復帰により米国の関税政策が再び強硬化し、EUとインドは新たな経済連携先を模索。
🛡️ 背景③:安全保障・技術分野での戦略的協力
- 防衛・サイバー・海洋監視など:日本や韓国との協定に類似した安全保障パートナーシップを目指し、サイバーセキュリティや重要インフラ保護での協力を強化。
- ハイテク分野の連携:半導体、AI、グリーン水素などの先端技術分野での共同開発や投資が計画されている。
🌍 背景④:多国間秩序と価値観の共有
- 民主主義とルール重視の枠組み:EUはインドを「ルールに基づく多国間秩序の担い手」と位置づけ、価値観の共有を強調。
- 孤立主義への対抗:フォン・デア・ライエン欧州委員長は「勢力圏と孤立主義の世界では両者とも損をする」と述べ、協調の重要性を訴えている。
この協力強化は、単なる経済連携を超えて、インドをグローバル秩序の中核に据えるEUの戦略的選択とも言えます。
つづいて、EUとインドの自由貿易協定(FTA)交渉の障壁と、インド国内政治との関係について、さらに深掘りしてみます。
🚧 FTA交渉の主な障壁
- 関税と市場アクセスのギャップ
- EUの要求:インドが課している高関税(例:自動車・アルコール類に100%以上)を引き下げるよう求めている。
- インドの要求:医薬品、繊維、アパレルなどの主要輸出品へのEU市場アクセス拡大を希望。
2. 環境・人権規制への抵抗
- EUは環境保護や人権遵守に関する厳格な規制をFTAに盛り込もうとしているが、インド側は「先進国の論理」として反発。
- 特に**国境炭素税(CBAM)**などの制度は、インドの鉄鋼・セメント産業に打撃を与える懸念がある。
3. 農業分野のセンシティビティ
- EUの農産物は補助金によって価格競争力が高く、インドの農家に打撃を与える可能性があるため、インド側は慎重。
🏛️ インド国内政治との関係
- モディ政権の経済戦略
- 「Make in India」政策を軸に、製造業振興と雇用創出を重視。FTAはその一環として位置づけられている。
- EUとのFTAには、100万人分の雇用創出や1,000億ドルの投資促進などの具体的な目標が盛り込まれている。
2. ナショナリズムと保護主義のバランス
- モディ政権は国内産業保護を重視する一方で、グローバル投資の呼び込みにも積極的。FTAはそのバランスを取る試金石。
- 特に選挙前は「外資優遇」への批判が高まりやすく、交渉のタイミングが政治日程に左右される。
3. 労働者の移動とIT人材の扱い
- インドはEUに対し、熟練労働者(IT技術者など)の一時的な就労アクセス緩和を求めている。
- これは国内のIT産業支援と、若年層の雇用機会拡大を狙ったもの。
🔍 視点:戦略的含意
- このFTAは単なる貿易協定ではなく、EUの対中デリスキング戦略と、インドのグローバル経済統合戦略の交差点に位置しています。
- 交渉の進展は、半導体・AI・グリーン水素などのハイテク分野での協力にも波及し、ETFやセクター投資の中長期テーマとしても注目に値します。
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