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投資と受験(子育て)について発信している弾正少弼です。
(投稿2023年6月)
今回は、アメリカ FOMC 6月の振り返りです。最初に まとめ から
5月記事を読んだあなたは、2項を飛ばしてもOKです。
まとめ
・政策金利の据え置き決定。5.00~5.25%。
・インフレ対策と金融安定のジレンマは継続、年内2回の利上げを示す。
FOMCとは
・FOMC。米国の金融政策を決定する会合。FRB7名の理事(総裁、副総裁含)と地区連銀総裁のうち5名(NY連銀総裁は常駐でFOMC副議長となる、残りは持ち回り)の12名が投票権を持つ。残り7名の地区連銀総裁、NY地区連銀副総裁も議論には参加するが、投票権を持たない。
米連邦公開市場委員会(FOMC:Federal Open Market Committee)。米国の金融政策を決定する会合。年8回の定例会合と、必要に応じて臨時会合が開催される。
景気やインフレ率の見通しに基づいて、金融政策に関する声明を発表している。
FOMCの政策決定は、米国経済だけでなく、世界経済にも大きな影響を与えています。
総裁・副総裁を含む最大7名の常任理事(欠員あり)と、12の地区連邦銀行総裁のうち5名による投票で政策を決定する。12の地区連銀のうち、金融政策の実務を担当するNY連銀総裁はFOMCの副議長として常に投票権を持ち、残り11地区については4つのグループに分かれて年ごとに投票権を持つ。
年8回の定例会合のうち、4回の会合で参加メンバー(投票権の有無にかかわらず全員)による今後数年間の年末時点での経済成長率・失業率・物価・政策金利水準の見通しが発表される。
このうち政策金利水準の見通しは、各メンバーの見通しをドットの形でグラフに示したドット・プロットが公表され、平均値や中心地だけでなく、分布も確認することが出来る。
会合後の総裁会見は参加メンバーによる見通し公表のある会に限られていたが、2019年から全会合後の実施に変更された。
米国の政策金利はフェデラル・ファンド金利(FF金利)誘導目標。0.25%のレンジで目標が示される。
米国夏時間:日本時間午前3時、冬時間:日本時間午前4時の発表。
・FED。日本語では連邦準備制度。Federal Reserve SystemのFederalを略してFed(フェッド)と呼ばれ、FRSともいう。米国の中央銀行制度のこと。連邦準備理事会(FRB:Federal Reserve Board)、連邦公開市場委員会(FOMC:Federal Open Market Committee)、全米12地区の連邦準備銀行(FRB:Federal Reserve Banks)から構成される。
・連邦準備理事会(FRB)は、日本銀行(日本の中央銀行)に相当し、Fedの最高機関として米国の金融政策を策定・実施するとともに、各地区の連邦準備銀行(FRB)を総括する。連邦公開市場委員会(FOMC)は、日本の金融政策決定会合に相当し、連邦準備理事会(FRB)が定期的に開く会合で、FFレートの誘導目標など公開市場操作の方針を決定する。連邦準備銀行(FRB)は、連邦準備理事会(FRB)の下に置かれ、決定された金融政策の実施や、米ドル紙幣(連邦準備券)の発行などを行う
・2023年のFOMC開催日程
6月FOMC後の市場関係者の見方
米連邦準備理事会(FRB)は6月13─14日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.00─5.25%で据え置いた。決定は全会一致。ただ、同時に発表された金利・経済見通しでは予想を上回る堅調な経済とより緩慢なインフレ鈍化を想定し、年末までに合計0.50%ポイントの利上げが決定されるとの見方が示された。市場関係者の見方は以下の通り。(ロイターより)
●年内の米利上げ期待回復なら日銀政策修正期待も長期化
<野村証券 チーフ金利ストラテジスト 中島 武信氏>
ドットチャートでは年内に50ベーシスポイント(bp)の追加利上げが行われるとの見通しが示され、パウエル(米連邦準備理事会)議長も記者会見で「利下げは2年ほど先になる可能性が高い」と述べたが、FF先物市場では年内に25bpの利上げを8割程度、また来年から利下げ開始と織り込んでおり、ドットチャートやパウエル議長の発言と、市場の織り込みには乖離がある。
今後は、年内の利上げ期待の回復と来年以降の利下げ期待の後退が進むことで、米国の長期金利に上昇圧力がかかる可能性に注意したい。ただしFRBの引き締めにより景気後退懸念が高まれば、来年以降の利下げ期待が高まると想定されるため、米長期金利の上昇には景況感の持続も必要となるだろう。
またこれまで日銀の政策修正のタイミングとして7月が有力視されてきた1つの背景として「日銀が米国の利上げが終わった後に政策修正すると金融政策の方向感の違いから円高に振れる可能性があるため、日銀は米利上げ終了前に政策修正を行う」との見方があったが、FRBが年内に50bpの利上げを行う方針を示したことから、年後半にも米利上げがある可能性が高まれば、日銀が6月や7月に政策を据え置いたとしても政策修正期待は残存し続けることになるだろう。
●再利上げは五分五分、ドル142.50円超えるかが焦点
<SBIリクイディティ・マーケット 金融市場調査部長 上田真理人氏>
大まかにみれば予想通りの結果だ。
同日公表されたドットチャートでは2回の利上げが示唆されているものの、市場はまだ織り込んでいない。今週発表された米消費者物価指数(CPI)や米卸売物価指数(PPI)の下振れを踏まえると、米連邦準備理事会(FRB)が果たして再度利上げに踏み切るのかは懐疑的だ。
市場は利上げ停止時期を探り始めている。年内の利下げはないものの、インフレ率の伸びの鈍化が今後も続けば、このまま利上げ停止が続く可能性が十分あるとの見方が出てきた。再利上げの可能性は否定できないが、実際のところ五分五分だとみている。1回の追加利上げはあったとしても、2回はできないのではないか。
7月の会合は今後の状況次第で常に変化する「ライブ会合」になるとしたパウエル米FRB議長の発言にも、本当のところは分からないという自信のなさが表れている。これがドルに反映されており、大きく崩れることはないものの、喜んで買うという動きにはなりにくい。
ドルは142.50円を超えるかどうかが一つのポイントとなり、同水準を超えれば145円が視野に入るとみているが、昨年付けた150円台に達するのは難しいとみている。
●金利見通しタカ派寄りでも「データ次第」で波乱回避
<三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト 市川雅浩氏>
FF金利先物は2回の利上げを織り込んでいない。市場では、追加利上げはあと1回で、年内利下げもあり得るとの見方が優勢となっている。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、年内の利下げに否定的だったが、引けにかけて米国株は持ち直した。データ次第との発言を受けて、差し迫った問題ではなさそうだと受け止められたのではないか。
データ次第のため、物価や雇用が強ければ利上げもあり得るが、7月利上げは想定済みのため、株式市場はさほど荒れないのではないか。一方、政策対応が後手に回って引き締め姿勢が改めて強まるようなら相場にとって好ましくない。雇用や物価の動向は引き続き関心を集めそうだ。
●市場不安定に、対話難しくなる
<TDセキュリティーズ(ニューヨーク)の金利ストラテジスト、ゲンナディー・ゴールドバーグ氏>
今回の引き締めサイクルで最も興味深い動きだ。米連邦準備理事会(FRB)は政策金利を据え置きながら、経済見通しであと2回の利上げを想定し、矛盾する2つのことを両立させようとしているようだ。
FRBはさらに政策を引き締めるとみられるが、大きな疑問は実際に金利据え置きを決定しながら、あと2回の利上げに確実にコミットできるのかだ。
市場との対話がかなり難しくなるだろう。市場は不安定な展開になると思う。FRBはかなりタカ派的であると同時に非常に慎重な姿勢も示そうとしており、想定される利上げがどの程度実際に行われるかを正確に判断するのは困難だ。
●利上げ見送りでもタカ派色強まる
<エドワード・ジョーンズの投資ストラテジスト、アンジェロ・クルカファス氏>
タカ派色を強めた停止だ。引き締めサイクル開始以降初めてFRBは利上げを見送ったが、年内の追加利上げが1回にとどまらないことを示唆したFRBの見通しに市場が目を向けているのは明らかだ。
この見通しによって当局者は、景気とインフレの推移次第である程度柔軟に対応できる余地を維持した。CPIとPPIからは(インフレ抑制)の進展が引き続きみられるが、インフレ率がなお2%の目標を上回っているためFRBは勝利宣言できない。
景気が底堅いことはFRBにとって良いニュースだが、当局者は一定の減速を望んでいる。
FRBの政策金利見通しの中央値が年内あと1回ではなく2回の利上げを示唆したことはサプライズだった。これまでの利上げ幅を踏まえればそれほどタカ派的ではないとも言えるが、年内に利下げする可能性は排除された。
●前回会合以降、タカ派化
<CFRAリサーチのチーフ・インベストメント・ストラテジスト、サム・ストボール氏>
これから年末までの間に少なくともあと2回の利上げが実施され、(年内の)利下げはないとの見方から市場で売りが出た。
一部では、FRBが今回の会合で実際に利上げを停止し、その後は利上げはないとの見方が出ていた。また、今回は一時停止した後、7月にあと1回の利上げを実施して、それで利上げは終了されるとの見方も出ていた。
前回会合以降、FOMCメンバーが一段とにタカ派化したように見えたことが市場にとってサプライズとなった。
●年内2回利上げは想定以上にタカ派
<RBCグローバル・アセット・マネジメント 米ブルーベイ債券部門のアンジェイ・スキバ氏>
タカ派的な利上げ休止を予想する声は広がっていたが、ここまでの内容は市場の予想以上だった。ドットチャートが年内あと2回の利上げを示唆しているうえ、年内の会合があと4回しか残っていないことの二重のインパクトがあるからだ。
市場を驚かせたのは、ドットチャートで1回ではなく2回の利上げが示されたことだった。
●タカ派的な利上げ見送り
<トレーダーX(ロンドン)のストラテジスト、マイケル・ブラウン氏>
今回のFOMCでは予想通り政策金利が据え置かれたが、ドットチャートでは2023年の予想中央値が0.50%ポイント上方修正され、少なくとも2回の追加利上げが年内に決定される可能性を示唆し、タカ派的な利上げ見送りとなった。
労働市場の堅調さとコアインフレ率の粘着性に対する持続的な懸念がパウエルFRB議長率いる委員会の政策判断を主導し続けていることは明らかで、インフレ率という獣を退治したことを祝うウイニングランはまだ先だ。
政策金利の推移
ここまでの道のりの振り返り
人が不幸な出来事に遭った際の「受容過程」を示す枠組みを使い、パウエル連邦準備理事会(FRB)議長の言葉遣いの変化をたどると、物語が見えてくる。(ロイターより)
<否認>
インフレ率はまだFRB目標の2%を下回っていたが、上昇を始めていた。2021年3月17日の記者会見で、過剰貯蓄と過剰支出の可能性について記者から問われたパウエル氏は「物価が一時的にある種の膨張を示したことが後に判明するだろう。ただ、これで将来のインフレが変化するわけではない」と答えた。
<怒り>
公の場で冷静沈着過ぎるとも言われるパウエル氏を形容する言葉として、「怒り」は強すぎるかもしれない。しかし、議長が最初に「一過性」と表現したインフレは瞬く間に悩ましい現象となり、2021年7月28日の記者会見で議長は一過性の具体的な意味を追求された。
議長の答えはこうだった。「『一過性』とは本当にその言葉通りの意味だ。物価上昇が起こること。それが反転するとは私たちは言っていない。一過性とはそういう意味ではない。その意味は、物価上昇が起こる、すなわちインフレが起こるが、そのインフレ過程は止まるだろうということだ」
<取引>
年次「ジャクソンホール会議」の記者会見でパウエル氏は、インフレが今より執拗(しつよう)になった場合に何が起こるかを体系的に説明した。ただ議長の焦点は依然として、米労働市場をパンデミックの傷から癒やすことにあった。2021年8月27日の講演で、議長はFRBの2つの責務のバランスを取る発言をしている。「失業の期間が長引くと、労働者に、そして経済の生産性に長く傷を残すことをわれわれは知っている。しかし、一過性の要因によるインフレは必ず消滅すると、中央銀行がたかをくくってはならないことも歴史は教えている」
<抑うつ>
パウエル議長がインフレの判断基準を示した途端、賃金その他のデータが悪い方向に動き出したのは、議長にとって最悪の時期だっただろう。2021年9月22日に終わったFOMC後の記者会見の冒頭発言は降伏宣言のように読める。「経済の再開と支出の回復が続くにつれ、物価上昇圧力が生じている。その特筆すべき理由は、一部セクターで供給ボトルネックが起こり、短期的には生産が(需要に)素早く対応できないことだ。このボトルネック現象は予想以上に大きく、長引いており、(FOMC)参加者のインフレ予想の上方修正につながっている」
<受容>
2022年3月までには、FRBはパンデミック期の債券購入プログラムを段階的に終了し、利上げを始めていたが、インフレは加速を続けた。FRBは利上げスピードを加速させ、議長は2022年6月15日にこう説明した。「予想に反し、インフレは再び予想外に上振れした。一部のインフレ予想指標も上昇し、今年の(インフレ)見通しは著しく引き上げられた。従ってわれわれは、今回会合で力強い行動が正当化されると考え、75ベーシスポイント(bp)の利上げを実施した」
<罪の意識>
「怒り」と同様、「罪」という言葉も強すぎるかもしれない。だがパウエル氏は次第に、FRBがインフレ見通しを読み間違えたことを素直に認めるようになり、労働市場に害が及ぶのは必要悪かもしれないと、率直に口にし始めた。
2022年8月26日のジャクソンホール会議では「金利上昇と成長鈍化、労働市場環境の緩和によってインフレ率は下がるだろうが、家計と企業に一定の痛みをもたらすだろう。これはインフレ抑制による残念なコストだ」と語った。
<再建>
インフレの最終章はまだ書かれていない。FRBが重視する指標では、インフレ率はなお2%目標の2倍で推移している。しかし議長は14日の記者会見で、物価上昇が減速し、失業率が低水準を保ち、利上げサイクルが終わりに近づいていることにある程度の安心感を示した。「SEP(FOMCメンバーによるマクロ経済変数の予測値)によると、大半の人々の状況が目的地からそう遠くなくなっている」と議長は述べた。
2023年6月の政策金利です。2023年6月14日発表
・政策金利の据え置き決定。5.00~5.25%。
・インフレ対策と金融安定のジレンマは継続、年内2回の利上げを示す。
米国市場はサプライズと受け取らず
金融市場は7月以降の利上げを予想
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